人材採用に有利な環境づくり VOL.8「ムリムリ」


採用担当者も「数字」を持っている。

企業全体の人員計画に基づく「採用予定数」

がそれである。これを達成するために採用

担当者はあらゆる手を尽くす。達成でき

なければ、査定にも響くからだ。

 

だが、採用予定数を満たすためだけに、無理に

採用する動きにつながれば、企業に与える

損害は計り知れない。採用担当者にノルマを

課し、それを達成できるかどうかで評価を

することは「百害あって一利なし」である。

 

このような「ノルマ」は、その過酷さで

業界のみならず一般にも有名な野村證券でも

見直されている。直近の決算で、赤字が

1000億円を超える結果になったのが

この「過酷なノルマ」を課す企業文化から

なのかはわからない。しかし、ノルマには

弊害のほうが大きくなってきているという

認識は、野村証券だけでなく銀行・証券

業界で深刻なもののようだ。

 

今年に入って、預金獲得や金融商品の販売で

ノルマを廃止する動きが活発になっている。

三井住友FG、北國銀行、郵便局・・・

今後も流れは続きそうだ。

ノルマの弊害が認識され始めているので

あろう。

 

採用するに足る人材がいなければ採用

することはしない。

人を採用すること以外にも人手不足を

解消する方法はあるはずだ。

採用した人が退職した時にだけ採用担当者を

責めるのではなく、活躍した場合には評価

する仕組みを作る。

これらのことを考えることによって、

採用担当者にノルマを課すことなく、

企業の発展に資する人材採用をする

方法を考えていかなければならない。

 

そうしなければ、たとえ採用必要数を満たす

ことができたとしても、取るに足らない人材を

採用してしまったり、早期退職が続出するなど、

弊害が後になって表れることになりかねない。

 

数字に悩まされた挙句、極端な行動に

走る採用担当者の「ムリムリ」な行動に

よって、企業も求職者も迷惑をこうむる。

企業にとっては、採用にかけた時間もお金も

無駄になる。求職者にとっては、強引な説得や

ウソに惑わされて入社した結果「こんなはず

じゃなかった」「聞いていたのと違う」という

ことになるからだ。後の祭りである。

 

採用担当者に、ノルマという無理を強いる

ことは避けなければならない。採用活動は、

担当者個人がなんとかできるレベルのことを

超えている。企業全体で考えていかなければ

ならない問題だ。そのことに目を向けす、

担当者に無理を押し付けているようでは、

思わぬしっぺ返しをくらうことになる。


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