人材採用に有利な環境づくり VOL.9「ヘダタリ」


採用する側の企業と採用される側の働く人

との間には、考え方に大きな隔たりがある。

その隔たりが、採用活動の大きな障害になって

しまっているのが、採用難、人手不足を起こす

主な原因である。

 

いわゆる経営者と従業員の「儲けと給料」の

隔たりを言っているのではない。働くことへの

意識の問題である。つまり、経営者としては、

従業員にはできるだけ安い給料で長時間働いて

もらうことを望むが、従業員はその逆である。

このことを指しているのではない。

 

根本的に間違いなのは、働く人はお金で動く

と考えることだ。ある一定以上のお金が

もらえるのであれば、働くことの意義や

自分の仕事が役に立ち、何かに貢献する

ことを望むということである。ここを

間違えて、高給だの、休みが多いだのと

求人で連呼すれば、恥をかくだけだ。

 

人材難、人手不足が深刻化する中で、

採用する側も働く側も、働き方、採用方法、

求める人物像等を劇的に変えていく必要に

迫られている。すでにその動きは顕著だ。

働き方改革、新卒の通年採用、副業解禁・・・

枚挙に暇はなく、目まぐるしい変化が

現実に起きている。待ったなしの状況だ。

 

そのことに気づかず、いつまでも

「優秀な人材を採用するためには

賃上げもやむなし」という姿勢では

永久に採用活動は改善しない。

これが愚策なのは、お金に関する

欲望には天井がないこと、そして

上げた効果は数カ月もすれば消えて

しまうからである。

 

賃金の上げ幅が月額数千円から、多くても

数万円に過ぎず、さしたる金額でない

こととは関係がない。たとえ数倍になった

としても同じことである。数カ月もすれば

喜びも薄れ、その金額が「当たり前」に

感じるようになり、やがてもっと欲しいと

思うだけである。

 

働く人には、お金以外の「意義」が

必要である。それを見出し、実現できる

環境でなければ働く意味はない。

そしてそれはお金では代用できない。

 

経営者が働く人に与えるものは意義であり、

お金は仕事を続けていくために生命を維持し、

英気を養うために必要であるものに過ぎない。

 


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