超売り手市場で採用難の時代、企業は
採用に関してあらゆる手を駆使して
取り組む必要がある。
そのためには「応募がない」ことには
始まらないので、この連載では求人に
応募がない時の対処法について具体的に
考えていく。
第五回のテーマは
「社員全員採用担当」である。
最大の関心ごと
働く人にとって、職場環境は最大の
関心ごとであろう。給与や福利厚生に
始まり、休日や残業、オフィスの立地に
至るまで、環境と一言でいっても様々な
要素からなっている。なかでも重要
なのが人間関係ではないだろうか。
この人間関係とは、端的に言えば
「誰と一緒に働くことになるのか」
ということである。しかし、この
情報に接することができる人は少ない。
多くの人は、入社する人と、当日
初めて顔を合わせることになるからだ。
入社する人は、職場にどんな人がいるのか、
職場見学でもさせてもらう機会でもないと
知る術もない。受け入れる側の人も
面接官をして面識がある場合を除き、
入社してくる人とは当日初めて会う
ことになるだろう。
ほかの要素は求人や面接などから
知ることはできる。しかし、最も
重要な情報である
「誰と一緒に働くことになるのか」
について、知る機会がないのは
はなはだおかしなことではない
だろうか。
一緒に働く人を選ぶ権利
人間関係がうまくいかないチームや
組織が成果をあげることなどできない
のは、説明の必要もないくらい自明な
ことである。そして人間関係は、たった
一人の人間によって簡単に崩壊するほど
機微に触れる問題であるのも論を待たない。
採用は、とりもなおさず、このような
「組織崩壊」の引き金を引きかねない、
繊細で重要な意思決定なのである。
ならば、社員全員に採用担当者としての
自覚と権利をもってもらうことが必要
なのではないだろうか。
そのためには、採用プロセスにできるだけ
社員全員に関わってもらうことだ。
面接官として関わってもらい選抜に責任を
持ってもらうのが最も効果があるだろうが、
全員が面接官としての技量と責任を背負う
のは現実的ではない。
そこで、オブザーバーとして面接に同席
することや、面接終了後に求職者が
職場見学をする際に言葉を交わすこと
などを通じて、
「この人と一緒に働きたいか」
について意見表明をするという形では
どうだろうか。もちろん、そこで
表明した意見によって不利な扱いを
受けることはないと保証することも
セットでである。
求職者にとっても、職場見学ができて
一緒に働くことになるのがどんな人
なのかを知りたいはずだ。
求人に職場見学ができることを
書くだけで、応募数が増える効果が
期待できるのではないだろうか。
自分が新参者のときは、所与の人間関係は
受け入れるしかない。だが、後から入って
来る人については、