「働き方改革」を人材採用に活かすために Vol.9「生産性向上」


働き方改革は、いまや国を挙げての

事業となっています。関連する

キーワードも多くあります。

この連載では、関連するキーワードを

ひとつずつ取り上げ、これを人材採用に

活用するための方法について考えて

行きたいと思います。

第九回のテーマは

「生産性向上」です。

本来の意味が取り違えられる

リストラが本来の意味ではなく単なる

「首切り」を意味するものとして定着

してしまったように、働き方改革も

単純に「残業時間の削減」「休みを

しっかり取ること」を意味するように

なってしまいそうだ。

本来の意味のリストラは

「企業が事業規模にあわせて組織を

再編成すること」

であり、リストラという言葉自体には

首切りの意味はない。

しかし、実際には「組織の再編成」とは

業績が悪化したためにする事業規模の縮小

であることが多い。その結果として、余剰と

なった人員が「首切り」の対象となる。

つまり、リストラの結果によって発生するに

すぎないのが「首切り」なのであるが、

それがリストラの意味として理解されて

しまったのだ。

首切りは目立つ。リストラの結果として

行われたのであったとしても、切られた人の

嘆きが声が小さくなることはない。しかも、

誰もが知る大企業の場合には大きく報道

されることになる。人の印象に残るのは

この部分だからだろう。

働き方改革は、厚生労働省のホームページでは、

「働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な

働き方を選択できる社会の実現のための改革」

と位置付けられている。

働く時間が削減や、休みをしっかり取る

ことは、そのための一つの方法であるに

すぎないはずである。しかし、法律として

現時点で実行されているのは、残業削減や

有給取得取得義務化であるのも確かである。

残業時間が減ったことで自然と減った残業代に

よってローンが返せなくなったとか、

時間を持て余したサラリーマンが、仕事が

終わってもすぐに家に帰らず「フラリーマン」

となってさまよう姿が報道される。本質は

置き去りにされるのである。

生産性の向上とセットに

残業時間の削減や有給取得の義務化は、

手を付けやすく結果が数字として見え

やすいから取り組まれているに過ぎない。

管理職をやったことがある立場から

すれば、これだけなら達成することは

難しいことではない。部下を早く帰し、

有給を取る申請書を出させればいい。

しかし、後が大変である。

仕事の量が変わらないのに残業を減らし

有給を増やせば、代わりに誰が仕事を

するのか。管理職自身だ。もしくは、

仕事を家に持ち帰ってこっそり

「隠れ残業」「見た目だけ有給」と

なってしまうのがオチだ。

つじつま合わせ、しわ寄せはどこかに行く。

いずれは業務が立ち行かなくなるだろう。

働き方改革は、生産性の向上とセットで

行わなければ何の意味もない。

惰性で行われているだけ、個人や部署単位で

重複している、アウトソーシングするほうが

効率的であるなど、業務内容の見直しが先決。

それなしに、残業時間の削減や有給取得の

促進はできないはずである。

それには、必ずしも最新のシステムを導入したり、

コンサルタントを入れる必要はない。チーム

メンバー同士の話し合いをすればいいのである。

確かに時間はかかる。数字として結果が即座に

出てくるものではない。しかし、根本治療を

することなく「早く帰れ」「休みを取れ」

では、働く人は迷惑するだけである。


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