人材採用活動において採用担当者の
果たす役割は、求職者から見たときの
「企業の顔である」ことです。
しかし、これは二義的なものに過ぎません。
それよりも重要な「第一義的役割」は、
企業が維持発展していくために最重要と
なる資産である「人材」を取り扱うと
いう重責です。
この第一義的役割を果たすために、
人材採用担当者が「あるべき姿」に
ついて連載します。
第三回のテーマは
「採用する目的を忘れない」
です。
採用担当者の数字
多くの採用担当者が数字に
悩まされています。達成すべき
数字を持っていて、それが自身の
評価、査定、ひいてはボーナスや
出世にも影響してきます。
具体的には、求人広告を出した時の
「応募者数」、書類選考を通過した人の
「面接数」、そして入社するに至った
人をどれくらい獲得できたかという
「要採用数の充足率」など、さまざま
あります。
しかし、これらの数字を満たすこと、
その結果如何が採用担当者としての
評価につながるからと、数字にばかり
目が行くようでは、採用担当者として
恥ずべき行為だといわざるを得ません。
人材採用の変わることない目的は
「優秀な人材を採用することによって
企業の維持発展に貢献すること」です。
このことにのみ忠実であるべきであり、
企業にとって最も重要な資産である人材に
対してのみ責任を負うのだということを
自覚すべきです。
採用活動は投資
採用担当者が持っている数字のうち、
いますぐに止めなければならないのは
「採用コスト」という数字です。
一人採用するのにいくらかかったか、
応募一人集めるのにいくらの費用が
かかったのか、選考にどれくらいの
時間がかかったかなど、採用活動を
まるで「コスト」と見ることは
愚の骨頂だとあえて断言したい。
もちろん、余計なお金と時間を
かけるようではいけません。
しかし、採用活動にお金がかからない、
多大な時間もかけなくてよかった
ということは、結果としてそうなる
ことであって、初めからそれを目的に
するものではありません。
時間もお金もかけるなと言われた
採用担当者は、優秀な人からも応募が
あるかどうか関係なく、少しでも安い
求人媒体に広告を出す。
選考スピードを急ぐあまり、求職者に
対して十分なケアができなくなる。
優秀な人材を集めるにはそれだけお金が
かかりますし、求職者に敬意をもって
対応しなければ辞退されてしまう。
採用活動は投資です。最適な方法が
あるのなら、お金も時間も惜しんでは
ならないのです。初めからお金も時間も
かけないという目的をもって採用活動を
することは、絶対に避けなければ
なりません。
そんなことをすれば、取るに足らない、
会社にとってお荷物になる人材という、
最も重い負債を抱えることになる。