人材採用活動において採用担当者の
果たす役割は、求職者から見たときの
「企業の顔である」ことです。
しかし、これは二義的なものに過ぎません。
それよりも重要な「第一義的役割」は、
企業が維持発展していくために最重要と
なる資産である「人材」を取り扱うと
いう重責です。
この第一義的役割を果たすために、
人材採用担当者が「あるべき姿」に
ついて連載します。
第六回のテーマは
「質問する」
です。
詰問・尋問・そして悪者
人を採用することは、その人が
「将来的に」どのような成長をするか、
どれほどの成果を会社にもたらすか、
その点を評価して行われるべきです。
しかし、現実には、そのことよりも
「キズがない」「問題を起こさない」
人を採用することが目的になっている
ケースが多いのです。
その愚を犯す面接官は、候補者の
「過去のこと」にばかり注目して
面接を行っています。つまり、面接で
「質問」しているのではなく「詰問」
「尋問」を繰り返す。その挙句に、
候補者を関西弁で言うところの
悪者(わるもん)扱いして追放して
しまうのです。
たとえ平々凡々であったとしても
問題を起こしそうにない人を
採用することを優先する、と
言い換えてもいいでしょう。
具体的な行動としては、
転職回数が多すぎるとか、行動や
考えが一貫していないとか、
キャリアにブランクがあるとか、
そういったマイナス面に集中攻撃を
しかけます。そして、そんな状況に
なったことに対する「申し開き」を
言わせようとする。まるで容疑者に
犯行時刻のアリバイ取り調べている
かのようです。
冤罪が生まれる
そういう面接官に限って、意地の悪い
質問をネチネチやります。しかも、
候補者が言った答えに納得したりは
しない。あくまで面接官が受けた
印象に合う答えしか認めないので
それを言わせようとします。
まるで、犯行を行っていない人に
自白を強要する警察官のような
悪質さではありませんか。
その候補者が、入社後にどのような
ことをやりたいと思っているか。
そのことにまったく興味などない
面接など、はやイジメでしょう。
しかも、優秀な人材に対し、取るに
足らない人物であるというレッテルを
張る。冤罪を生むことになるでしょう。
受ける価値など全くありません。
面接官は、候補者に質問することが
仕事です。そして、質問が質問たりうる
ためには、候補者が入社した時に活躍
できるかどうかを見極めるという目的に
沿った、そして「未来に関する」ことで
あることが必須です。
候補者の未来に目を向けた面接をしない
面接官は、みすみす優秀な人材を逃す
ことになってしまうでしょう。