人材採用活動において採用担当者の
果たす役割は、求職者から見たときの
「企業の顔である」ことです。
しかし、これは二義的なものに過ぎません。
それよりも重要な「第一義的役割」は、
企業が維持発展していくために最重要と
なる資産である「人材」を取り扱うと
いう重責です。
この第一義的役割を果たすために、
人材採用担当者が「あるべき姿」に
ついて連載します。
第十一回のテーマは
「小さな約束を守る」
です。
約束は約束
採用担当者は、求職者と交わした
どんな小さな約束でも果たさなければ
なりません。また、どんな小さな約束
でも守ることができない求職者は、
どれほど素晴らしい経歴やスキルを
持っていたとしても、採用しては
なりません。
約束は、それが大きなものか小さい
ものかを問わず、それ自体が非常に
重要なものです。口にしたら最後、
必ず果たさなければ信用を失います。
「綸言汗のごとし」といいます。
一度口に出したことは、いったん出た
汗を引っ込めることはできないのと
同じで、取り消したり訂正したりは
できないものなのです。
「一週間以内に今日の面接の結果は
電話でお伝えします」
たとえば、面接終わりにこのように
求職者に伝えたとします。これは
立派な約束です。この場合、一週間を
過ぎての連絡は言うに及ばず、電話では
なくメールで連絡をしたとしても、
約束を違えたことになります。
一週間と言ったのなら一週間以内に
連絡はしなければなりません。
その方法が電話だと言ったのなら、
電話で連絡をしなければなりません。
それ以外では、約束を守ったことに
ならないのです。
しかし、いつも約束を守ることが
できるとは限りません。もし約束を
守れなくなったのなら、それがわかった
時点で求職者に連絡して謝罪すれば
いいだけのことです。何も難しいこと
ではありません。
選考基準にする
このような
「どんな小さな約束でも守るか
どうか」ということを選考基準に
することもできます。そこに
その求職者の本性を垣間見る
ことができるからです。
履歴書・職務経歴書にしても
面接中の受け答えにしても
あらかじめ「用意されたもの」
であり「猫をかぶっている」
状態しか見ることができない
場合が少なくありません。
選考には関係ないであろう小さな
ことにでも、「わかりました」
と言ったのならそれは約束です。
それを守るかどうかを判断基準に
するのです。
面接開始の10分前までに来るように
約束したのならそれを守るのか。
履歴書・職務経歴書の左側を二か所
ホッチキス止めするように約束した
のなら、それを守るのか。
そこのところに、求職者の偽らざる
本当の姿が見えることでしょう。