働き方改革を推し進めるために
人事部が果たす役割は大きい。
働き方改革を生かすも殺すも
人事部次第であるとさえ、
言っていいでしょう。
なぜなら、会社が決定した「方針」を
実際に運営していくための方法を
考えるのは人事部だからです。
この連載では、働き方改革の実現に
貢献できる人事とはどのようなものか、
そして、それとは逆に台無しにする
人事部とはどのようなものか、検証
したいと思います。
第二回のテーマは
「ブラックボックス」
です。
アンタッチャブル
手を付けるべきだとはわかっていても、
手を付けたことによって起こる結果が
怖くて手を付けられないまま長い時間が
経過してしまったこと。それが
「業務のブラックボックス化」です。
その仕事の存在はわかっているが、
実態はまったくわからない。同僚は
もちろん、上司もうかがい知ること
すらかなわない。担当している人
だけが知っていて、ほかの誰も知る
者はいない。
そのような、まるで都市伝説のような
仕事が、周囲を見渡せば少なくとも
一つくらいないでしょうか?そんな
仕事を一人で抱えて誰にも触らせない
人が一人くらいいませんか?
働き方改革を実行しようとする場合、
まずは業務の洗い出しをします。そして
無駄や重複している業務がないかを
チェックして、それにかかっている時間の
削減を図ることがセオリーでしょう。
その時に、大きく立ちはだかるのが、
このような「ブラックボックス業務」
です。それは担当者が後生大事に
抱えている仕事のため、奪われることを
極端に恐れています。しかも、他にその
内容を知る人はいませんから、ウソの
内容を申告してその場をやり過ごそうと
思えば簡単にできてしまいます。
ブラックボックス化業務は、扱いを丁寧に
しないと大きな反撃が食らうことになる。
それを恐れて上司も手を付けることができない
くらいの「モンスター」になっていることも
多いのです。しかし、これを退治しないと
長時間勤務の是正など働き方改革は骨抜きに
なってしまう。
憎まれ役
人事部は、ブラックボックス業務を
見過ごしてはいけません。働き方改革を
実行するという意思を明確にするために、
ブラックボックス業務を吐き出させる
ことは避けられないと言ってもいい。
ブラックボックス業務は、いわば不良債権。
多くの場合、形骸化していたり、惰性で
行われているだけだったり、他の人や
部署に任せたほうがいい業務である
場合が多いものです。
ですから、その部署で解決できないのなら、
人事部が出て行って解決を図ることが
できなければなりません。人事部はその
ためにあるといっても過言ではないのです。
必要な時には社内で「憎まれ役」として
振る舞うことができなくては、人事部こそ
何の仕事をしているのかよくわからない
「ブラックボックス」となるでしょう。