働き方改革を推し進めるために
人事部が果たす役割は大きい。
働き方改革を生かすも殺すも
人事部次第であるとさえ、
言っていいでしょう。
なぜなら、会社が決定した「方針」を
実際に運営していくための方法を
考えるのは人事部だからです。
この連載では、働き方改革の実現に
貢献できる人事とはどのようなものか、
そして、それとは逆に台無しにする
人事部とはどのようなものか、検証
したいと思います。
第三回のテーマは
「学びの機会を提供しない」
です。
働き方改革≠労働時間の短縮
働き方改革は、労働時間の短縮をすること
つまりは残業を減らすことによって達成
されるのではありません。労働時間の短縮は
働き方改革の目的ではなく、取り組みの結果
起こることです。つまり生産性の向上です。
従業員を監視し、遅くまで残っている人に
警告を与え、管理職にしわ寄せがいくのを
見て見ぬふりをする。とにかく残業を減らす
ことを目的に、小手先の対応に終始する。
そんな人事部など、何もしていないに等しい。
だれかの犠牲なくして働き方改革が
できないものであるとしたら、それは
「学ばない人」に退場いただくことに
よってであるべきです。
つまり、生産性向上のために自らの
能力を向上させる努力をせず、ボーっと
して働いている人です。そのような人に、
人事部は厳しく対応することによって
働き方改革に取り組むべきです。
物心両面の支援
本当に働き方改革の推進をしたいのなら、
働く人の学びに必要な環境を整えることが
なによりも必要です。それは費用の問題を
超えたとろこにあります。
どういうことかというと、会社として
研修プログラムを充実させることや、自ら
外部の教育機関、研修期間に学びにいく人
に費用援助することだけを意味しない、
ということです。
学びは、そのようなすぐに使える最新の
知識やスキルを身に着けることができる
「学問的」なことだけではないのです。
「ソーシャルスタディ」とでもいいま
しょうか、所属企業の外にいる人たち
との交流によって得られる学びをも
意味します。
同じ組織に所属している人同士だと、
どうしても、仕事のやり方、考え方が
似通ってきます。「組織の常識は世間の
非常識」と言われるように、だんだん
外の世界と感覚がズレていってしまう。
その補正をするには、外の世界との
接点を持つしかありません。
企業は、従業員が外の世界を知り、
見ることを嫌う傾向にある。ひたすら
一つの方向だけを見て、組織のやり方、
考え方に順応することを求めてきました。
しかし、もはやそれを求めることは
働く人にとって苦痛でしかない。
今の働き方が必ずしも最上のものでは
ないという視点を持ち、常に改善を
模索していくことこそ、働き方改革の
原動力になるのではないでしょうか。
企業は、働く人が「外の世界から」
学ぶ機会を得られるように支援する
ことを忘れてはいけません。