働き方改革を推し進めるために
人事部が果たす役割は大きい。
働き方改革を生かすも殺すも
人事部次第であるとさえ、
言っていいでしょう。
なぜなら、会社が決定した「方針」を
実際に運営していくための方法を
考えるのは人事部だからです。
この連載では、働き方改革の実現に
貢献できる人事とはどのようなものか、
そして、それとは逆に台無しにする
人事部とはどのようなものか、検証
したいと思います。
第五回のテーマは
「八方美人」
です。
どこかに歪みは出てくる
働き方改革とは、いままでのやり方や
決まりごとのうちの何かを変えると
いうことです。それまではっきりと
していなかったことに白黒つけると
いうことでもある。
何を変え、はっきりさせるにしても、
それによって不利益を被る人が必ず
出てきます。既得権益を害された
人は恨みを抱くことさえある。
働き方改革は、そのような人たち
との戦いです。
その矢面に立ち、旗振り役を人事部が
担っているという自覚がなければ
務まりません。不満や批判を恐れず、
原理原則を守って、ブレずにやり抜く。
その覚悟をもって取り組まなければ
成功はおぼつかないでしょう。
しかし、人事部は社員がお客様ですから
クレームはできるだけ避けたいと思うもの。
不満や批判を聞くとそのたびにオロオロし、
原理原則を曲げてでも収めようとして
しまいがちです。そうすると他の人から
不満や批判が出て、またそれに対応して・・・
人事部は八方美人にはなれない。
だれかに不利益を耐えてもらうしかない。
そのために心を砕くことが重要です。
組織防衛
人事部は、その会社で働く人たちの
ことをサポートし、守るのが仕事です。
働きやすい環境を整え、困ったことが
あったときには助けとなる。そのために
人事部は存在します。
しかし、それも会社という組織があって
初めて可能になることばかりです。
組織そのものがなくなってしまえば
元も子もありません。人事部は社員を
守ることと同時に組織を守ることも
しなければなりません。
働き方改革は、対応していかないと
組織そのものを防衛することが
できなくなってしまうほど重要な
ものなのです。これに限っては、
社員個人よりも組織の防衛を優先
しなければならない。社員を犠牲に
することさえあるかもしれない。
人事部は組織と社員との板挟みに
なることも多い仕事です。その覚悟が
なければ人事部員ではいられない。
しかし、働き方改革はその度合いが
かなり強く、プレッシャーに押しつぶ
されかねないほどのものなのです。
働き方改革を推進する人事部員は、
おしつぶされないよう、自分を守る
ことも考えておかねばならない。