企業が採用すべき人、採用してはいけない人 Vol.14「真摯であるか」


「人材こそが最大の財産である」

企業がどんな人材を採用し、

どんな人材を採用しないのか。

その自由は各企業にありますが、

この点は共通するでしょう。

 

この考え方に立てば、ある程度までは

「採用すべき人」そして

「採用してはいけない人」

を定義することができる。この連載は

それをテーマとしています。

 

第14回のテーマは

「真摯であるか」

です。

 

生まれつきのもの

 

有名な経営学者であり、代表的な著書

「マネジメント」が日本で「もしドラ」の

題材となったことでも有名な、かの

ピーター・ドラッカー博士は、働く人、

特にマネージャーになる人に「真摯さ」

を要求しました。

 

「真摯さ」とは、「真面目さ」「誠実さ」

と言い換えてもいいでしょう。この点に

欠ける人を採用することだけは、採用担当

として絶対に避けるべきことです。使命です。

 

私自身、次の言葉を肝に銘じて採用活動を

していました。今も、付き合う人を選ぶ際の

基準にしています。

 

「真摯さは習得できない。仕事についたときに

もっていなければ、 あとで身につけることは

できない。 真摯さはごまかしがきかない

(『現代の経営』[上])

 

スキルや経験は、たとえ今は足りなかったと

しても、入社した後の教育研修やOJTなどの

プログラムによって、指導的立場にある

マネージャーの教育によって、いくらでも

補うことができます。

 

しかし、真摯さを教えること、身に着けて

もらうことはできないのです。

 

現場の士気が低下する

 

「一緒に働けば、その者が真摯であるか

どうかは数週間でわかる。部下たちは、

無能、無知、頼りなさ、無作法など、

ほとんどのことは許す。しかし、真摯さの

欠如だけは許さない。 そして、そのような

者を選ぶマネジメントを許さない」

 

真摯さに欠ける人材を採用してしまった

ことを、現場の人たちは許しません。

現場の士気が下がってしまうことの

影響は計り知れません。たった一人の

採用によって組織が崩壊することにも

なりかねません。

 

難しいのは、一緒に働く人でさえ、

わかるのに数週間とは言わないまでも

一定の時間がかかるところ、採用担当者は

数時間で判断しなければならないことです。

 

いえ、面接だけでは不可能でしょう。

 

ではどこで判断するか。面接という構えた

状況ではなく、たとえば一緒にコーヒーや

ご飯を食べにいくとか、面接官以外の

受付担当に対する態度や、面接が終わった

あとの行動など、人となりが出やすい状況

に持っていき、注意深く観察することです。

 

面接という空間では、多かれ少なかれ人は

「猫かぶり」「演技」をしています。

そこをいくら観察してもうまくいきません。

日常の何気ない行動を取る状況にできるだけ

近い空間を作ることが重要でしょう。

 


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