人生100年時代に「採用力が高い」会社とは Vol.6「採用担当者が数字を持たない」


「人生100年時代」

この言葉を聞いて、どのようなことを

連想するでしょうか?

 

お金、就転職、教育、結婚、出産・・・

いろいろなことが、人生が長くなるに

伴って根底から変わっていくことでしょう。

 

人材採用も大きく変わっていきます。

人生が長くなり、「働くこと」に対して

認識や価値観が変化する人材と、どう

向き合っていくのか。その問題が会社に

重くのしかかっています。

 

そんな時代と働く人のニーズをとらえ、

「採用力が高い」会社となるために何が

必要かを考えていく連載です。

 

第6回のテーマは

「採用担当者が数字を持たない」

です。

 

不正の温床

 

営業担当者のノルマを廃止する動きが

活発化しています。特に金融業界に

顕著な動きとしてあります。

ノルマを課すことは不正の温床になる。

そのように原因が特定されたからでしょう。

 

代表的なところでは、過酷なノルマで

知られた野村證券、このほど不適切販売が

発覚した日本郵便などです。ノルマ数字を

設定すること自体が営業担当者への過度の

プレッシャーとなり、不正へと走らせ、

結果的に顧客の利益を損なうことになる。

 

そういう意味では、採用担当者もノルマ

数字を持っているので、不正を働く可能性が

あります。たとえば、求人広告を出した時の

「応募数」や、候補者を「何人面接したか」

といったノルマです。

 

求人を出したのに応募がゼロ、応募はある

けれど面接にまで至らない。このことが

採用担当者にとってプレッシャーになります。

応募しやすいように履歴書・職務経歴書を

必要なくしたり、本来なら面接に呼ぶレベル

ではない人を呼び、見せかけの面接をするなど

体面を取り繕う行為に走るかもしれない。

 

最も「課してはいけない」ノルマ

 

これらも十分に弊害になることですが、

最もノルマ数字をとして課してはならない

のは「採用数」です。不適切な人を採用して

しまうくらいなら、たとえ100人面接して

一人も採用できないほうがマシだからです。

Amazonのジェフ・ベゾスなど、不適切な

人を採用することを忌避する経営者は非常に

多いです。

 

採用担当者が「採用数」という数字に

プレッシャーをかけられ、本来なら採用

するレベルではない人を採用したら。

そのことを見抜き、早々に見切りをつけ、

真っ先に辞めていくのは優秀な人材です。

 

結果、組織は優秀な重要人材を失い、

徐々に崩壊を始めます。危機が表面化する

ころには、組織内部には事なかれ主義が

はびこり、なにもせず、仕事をしている

ふりをする社員ばかりになるでしょう。

 

このように、たった一人の人間が加わる

ことが組織崩壊の引き金になるのです。

企業は、売り上げが上がらなくなって

倒産するのではなく、人材に恵まれない

ことによって倒産します。

 

その引き金を引くことになる「間違った採用」

に採用担当者を追い込まない。そのために、

採用数というノルマは課さないように

するべきです。


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