「人生100年時代」
この言葉を聞いて、どのようなことを
連想するでしょうか?
お金、就転職、教育、結婚、出産・・・
いろいろなことが、人生が長くなるに
伴って根底から変わっていくことでしょう。
人材採用も大きく変わっていきます。
人生が長くなり、「働くこと」に対して
認識や価値観が変化する人材と、どう
向き合っていくのか。その問題が会社に
重くのしかかっています。
そんな時代と働く人のニーズをとらえ、
「採用力が高い」会社となるために何が
必要かを考えていく連載です。
第8回のテーマは
「退職者が少ない」
です。
人が寄り付かない
人を採用する理由は二つしかありません。
1つは、企業の規模が拡大し、それに伴い
業務量が増えたので「増員する」場合。
ある部門の人手が足りないのでまずは
社内の異動によって賄った結果、人を
出したほうの部署で採用が必要になり
募集する場合もこれに含みます。
そしてもう一つは、退職者が出たので
その「代わりの人」を補充する場合。
後ろ向きの理由ではありますが、緊急度、
切迫度としてはこちらのほうが高い。
しかし、上手くはいかないもので、
「増員」の場合は採用がすぐにできる
ことが多いのですが、後者の「補充」
の場合はなかなか決まらない。
退職者が出る職場は、採用力も低下
しているからです。
退職するには必ず理由があります。
職場に対して嫌気がさし、見切りを
つけたためであるという場合は、
人を惹きつける魅力に欠け、採用力が
低下した職場であると考えるべきです。
まずはその「魅力がない」という点に
ついて解決を図るべきなのですが、
多くの企業はそこに取り組むのではなく、
無理に採用しようとすします。しかも急ぐ。
結果、採用活動が粗くなり、妥協を
生みやすい。
それがいわゆる「雇用のミスマッチ」を
発生させることになります。早期退職が
増えて、悪循環に陥ります。
退職ではなく「卒業」
採用力の高い企業は、退職者が
出ない・出にくい企業でもある。
退職した人の穴を緊急に埋めないと
いけないケースは少ない。
そのため、じっくり採用に時間を
かけることができミスマッチも少なく、
早期退職者も少ないでしょう。好循環。
しかし、そんな企業でも辞めていく
人がいないわけではありません。
その理由は、辞める人が「新天地」
を求めた結果であり、決して職場が
イヤになったからではないのです。
この場所でやるべきことはやった。
自信の成長、今後の人生のためには
新しいことにチャレンジすることを
重視したための「卒業」であることが
多いものです。
このような理由で辞めて人は、いつか
成長した姿でその企業に「戻ってきて
再就職」することもあります。まるで
出世魚のようです。
採用力が高い企業は、退職者がいつか
また戻ってきたいと思える企業でも
あるのではないでしょうか。