人材採用をするのに特別な努力は
必要ありません。当たり前のことを
当たり前のようにするだけで十分です。
しかし、世の常として当たり前のことほど
実行が難しいもの。それが人材採用できる
会社とできない会社の分かれ道になります。
この連載では、人材採用ができないと嘆く
会社が口にしがちなセリフを挙げ、それが
「当たり前のこと」に反する、ダメなこと
である理由について書いていきます。
第7回のテーマは
「前向きな人を求めます」
です。
そもそも矛盾している
新卒採用ならともかく、中途採用に
おいて「前向きな人」を条件にする
ことはそもそも矛盾しています。
なぜなら、転職しようとしている
時点で「後ろ向き」だからです。
転職せずに済むのならそれに
越したことはないはずです。
しかしそれでは済まない事情を
抱えているからこそ、面接を受ける
ためにそこに座っているのです。
このまま転職せずに前に進んでは
立ち行かなくなる事情がある。だから
「回れ右」して来た道を戻ろうとしている。
それが、大多数の転職における偽らざる
姿でしょう。
「なにか新しいことに挑戦したい」
「キャリアアップのために」
「子供のころからの夢を叶えたい」
などなど、当たり障りのない、
美辞麗句で退職理由は取り繕われます。
しかし、いくら取り繕っても、所詮は
「今、勤めている会社では望みが
叶えられない。不平不満がある。
やり直したい」
だから転職しようとしていることに
変わりはありません。
本当に前向きな人は、転職などと
いう道は選ばずに、起業したり
副業に精を出していつかは独立を
目指そうとするなど「新天地」を
見据えて活動しています。
その点でも、転職をしようという
人は果敢に打って出るという気概も
ないのですから、二重の意味で
「後ろ向き」と言えるのではないでしょうか。
退職理由は質問するだけ
ムダである
このことを理解せず、面接で退職理由を
ことさらにしつこく質問する会社ほど、
採用ができません。
「上司や同僚との人間関係が悪い」
「給料が安くて休みが少ない」
「会社の将来が不安」
などなど、退職を決意する理由に
前向きなものなどほとんどない。
にもかかわらず「前向きな人」を
求めようとするのはないものねだり
であり、対象者がそもそもいない。
ほとんどの求職者は当てはまりません。
もしいたとしても、前向きな退職理由を
面接官に信じ込ませることに成功した
「名俳優・名女優」だけでしょう。
さらに、退職理由にこだわるのは
求職者の過去のことにばかり
こだわっているということです。
あらさがしをし、キズが少なく問題を
起こさない人を採用しようとしている
にすぎません。
問題とすべきはその求職者が
「これからどのような成果をあげて
くれるのか」ということなのに、
そこに注目していない。
採用は失敗に終わるでしょう。