人材採用をするのに特別な努力は
必要ありません。当たり前のことを
当たり前のようにするだけで十分です。
しかし、世の常として当たり前のことほど
実行が難しいもの。それが人材採用できる
会社とできない会社の分かれ道になります。
この連載では、人材採用ができないと嘆く
会社が口にしがちなセリフを挙げ、それが
「当たり前のこと」に反する、ダメなこと
である理由について書いていきます。
第13回のテーマは
「悪くないんだけどねえ」
です。
はっきりとした基準
書類選考や面接を行うときには、
会社としてはっきりした選考基準を
もって臨まなくてはなりません。
それができていないと、いくら優秀な
人材が目の前に現れても採用できません。
なぜなら、
「次はもっと良い人材がくるかも
しれない」
と考えてしまうからです。
その可能性はゼロではありません。
しかし、今目の前にいる人材よりも
優れた人は二度と現れない可能性も
また、ゼロではありません。
100%望みにかなう人材などいない
ことはわかっているものの、まだ見ぬ
「理想の人物」を思い描いて踏み切る
ことができない。その曖昧な態度が
「悪くないんだけどねえ」という
セリフに端的に表れています。
はっきりと、こういう人材がいれば
採用するという確固たる基準を持って
いなければ「逃がした魚は大きい」
ということになってしまいかねません。
減点法ではいけない
「悪くないんだけどねえ」
このセリフにはもうひとつ、
求職者を減点法で見すぎている
という欠点もあります。
日本人には、人を減点法で見る
という伝統のようなものがあります。
学校のテスト問題の多くは
いかにミスをしないかが重要です。
センター試験などはその最たる
ものです。
江戸時代の幕藩体制では、なにか
落ち度がある藩を取りつぶそうと、
虎視眈々と幕府が狙っていました。
企業も官公庁も、なにかミスを
した人間をことさらに咎め、
過去に大きな成果をあげていた
ことと差し引きゼロにするような
査定はしません。
このような日本人の特性は
人材採用選考にも色濃く
表れてしまっています。
転職回数が多いこと、留年したり
休学したりしてブランクがあること、
年齢が高いこと、バツイチで子持ち
であること。などなど、マイナスに
評価することが多すぎます。
欠点のない、問題を起こし
そうにない人を求めるあまり、
成果を上げてることができる
人材であるかどうかは二の次
になってしまっています。
「悪くないんだけどねえ」
このセリフに、人材採用の
深い闇が凝縮されている
ように思えてなりません。