「人手不足倒産」という言葉を
見る機会が多くなりました。
そこまででなくても、人が足りない
ために受注を断っている企業の話も
よく耳にします。
人材採用は、火急を要することで
あったとしても、拙速に動くことは
慎まなければなりません。
「急ぎつつ待つ」ことが重要です。
この連載では、そのような
「急ぎつつ待つ」ために何をする
べきなのかについて書いていきます。
第2回のテーマは
「質問しない」
です。
インタビューから
オーディションへ
面接は英語で「Job Interview」と言います。
インタビューですから、面接官から主に
候補者に質問していくという形で面接が
進んでいきます。そのため、いかに候補者の
「実力」「真の姿」「人物」を見抜く
ことができるかが、面接官の腕の見せ
どころということになります。
しかし、そんなにうまくいくでしょうか?
人が人を判断するのに、たかだか一時間
かそこらの面接でそれが可能でしょうか?
できると思うのは、経験則や先入観に
頼っているからに過ぎないのではない
でしょうか?
いかにも主観的な判断で、その時々で
いかようにも左右されうる、なにひとつ
確かなものなどない面接を行い続ける
のでは、長い目でみればマイナスの
大きいことなのではないでしょうか?
それよりも、候補者のほうから
「自分が、今回の求人に関していかに
適任であるか」「この仕事を達成する
のにどのような方法を採るつもりか」
についてプレゼンしてもらうほうが
確実ではないでしょうか。
いわば「この人ならやってくれそうだ」
と感じることができるか、オーディション
して決める、ということです。
何重もの不利
候補者のほうから「自分こそがこの
求人に適任だ」というプレゼンを
行ってもらうオーディション形式の
採用が長い目で見た場合に重要に
なってくるもう一つの理由があります。
それは、インタビュー形式をとる面接が
極めて面接官にとって不利な状況に
なっているからです。それも、いくつも
不利が重なっています。
まず第一には、面接は候補者が事前に
提出した履歴書・職務経歴書をもとに
行われることです。
自分に不利なことが隠され、良いように
解釈され、捻じ曲げられた、候補者による
「作文」にすぎないのが、履歴書・職務
経歴書の偽らざる本当の姿だからです。
推理小説なら真実を解明するヒントが
散りばめられているものですが、履歴書・
職務経歴書にはそれがありません。
本当のところを推測することは
そもそも不可能です。
いわば、面接を有利に進めるための
シナリオです。履歴書・職務経歴書に
沿って面接を行う限り、候補者の術中に
はまる可能性が高いのです。
第二に、面接官には「してはいけない
質問」が多すぎることです。昨今、
特に厳しくなったコンプライアンス、
個人情報、人権、ハラスメントなどの
問題にからんで、人を採用するには
確かめねばならないことに関しても、
質問がしづらくなってしまっています。
これらの「問題になる事項」に関して
ではなくても、もし候補者の気分を
害する質問をしてしまったら、やれ
「圧迫面接」「ブラック企業」だと
ネットに書かれるかもしれません。
このように、面接官からの質問を
主体とした面接は非常にリスクが
高くなっているのです。
それに引き換え、オーディション型の
採用において、する質問は一つです。
「あなたが、この求人に自分が
ふさわしいと考える理由は何ですか?
それを具体的に示してください」
極めてシンプルです。