「人手不足倒産」という言葉を
見る機会が多くなりました。
そこまででなくても、人が足りない
ために受注を断っている企業の話も
よく耳にします。
人材採用は、火急を要することで
あったとしても、拙速に動くことは
慎まなければなりません。
「急ぎつつ待つ」ことが重要です。
この連載では、そのような
「急ぎつつ待つ」ために何をする
べきなのかについて書いていきます。
第6回のテーマは
「優良採用企業へ」
です。
顧客と同等
企業はさまざまな利害関係者を
抱えています。株主、消費者、社員、
取引先など、どの関係を重視するかに
よって企業の経営方針、スタンスが
変わってくるものです。
これら「ステークホルダー」との
関係は状況に応じて変わってきます。
不景気になり株価が下落すると
株主との関係を重視するように
なりますし、今のような人材難の
時代になると、昨日まで株主を
第一にしていた態度などかなぐり
捨てて社員との関係を重視する
ようになります。
人材確保のため、給与アップや
待遇改善に奔走する。社員の満足度や
働きやすい職場にするために、企業は
涙ぐましい努力をするようになる。
今の人材難は未曽有のものだとも
言われ、長期化もするでしょう。
このような状況下では、もしかしたら、
企業の存続に欠かすことのできない
「売上」をもたらしてくれる顧客と
同等の、あるいはそれよりも重視
する関係になっているかもしれません。
働き方改革がこれだけ叫ばれる
のも、いまの状況と無関係では
ありません。人材採用できるか
どうかは、働き方改革への取り組み
状況などをはじめとして、働く場所
としてふさわしい「採用優良企業」
と認知されるかどうかにかかって
います。
「ブランディング」は陳腐
採用優良企業になるためには
ブランディングが欠かせない
という意見もあるでしょうが、
これはいかにも付け焼刃。
陳腐な考えです。
ブランディングが必要なのは
そうしないと他と区別ができない
企業や商品です。似たものが
たくさんあるからこそ、その
違いを、ポジションを明確に
しなければなりません。
企業とはそもそも固有の存在です。
独自の歴史を持ち、文化をもって
いるものです。そこで働く人材も
様々で、一つとして同じものは
ないでしょう。
社員を重視し、採用活動に力を入れ、
人材を広く求めているということ
以上に、なにを訴えてブランディング
する必要があるのでしょうか?
時代がどう移り変わろうと、企業に
とって人材はなによりも重要な
資産であるということは揺るぎません。
その考えを素直に表現し、伝えること。
もし「採用ブランディング」が存在
するとしたら、これ以上のものが
あるのでしょうか?