「人手不足倒産」という言葉を
見る機会が多くなりました。
そこまででなくても、人が足りない
ために受注を断っている企業の話も
よく耳にします。
人材採用は、火急を要することで
あったとしても、拙速に動くことは
慎まなければなりません。
「急ぎつつ待つ」ことが重要です。
この連載では、そのような
「急ぎつつ待つ」ために何をする
べきなのかについて書いていきます。
第7回のテーマは
「初日を大事にする」
です。
歓迎されていない?
厳しい人材採用活動をへて
採用した人がすぐに辞めてしまう。
企業にとって大きな痛手です。
その原因の多くは「入社初日」に
あることが多いのです。
入社初日に最大限の歓迎の意を
示すために抜かりなく準備をし、
心をくだいて対応することが
重要です。初日に失望を味わわせる
ようなことがあれば、早期退職の
火種が早くもくすぶり始める
からです。
では、何をすればいいので
しょうか?
デスク周りの備品が一式そろえられ、
パソコンやネットワークへの接続など
各種設定が抜かりなくされている。
「どこに何があるか」という社内の
設備案内、必要なマニュアルが
プリントアウトしてデスクに置いてある。
つまり、すぐに仕事を始められるように
「ハード面」の準備が整っていることが
まず必要です。
しかし、これは最低限のことにすぎません。
もっと重要なのは「ソフト面」です。
つまり、一緒に仕事をする人達との
顔合わせを漏れなく行うこと。
初日から数日間のスケジュールを
説明し、その間に学んでほしいことを
はっきりと伝えること。会社独自の
ルールも余すことなく伝えます。
そのうえで、困ったときの相談相手も
紹介する。
重要なのは「入社初日の不安感を
できるだけ取り除こう」という心遣いを
示すことです。そうでないと、自分が
歓迎されているということが伝わらず、
失望を味わわせることになるでしょう。
私が味わった失望
私は何度か転職していますが、
入社初日の不安感を払しょくして
くれるどころか、この先の不安が
募り、歓迎されていないという
感触を持つことがほとんどでした。
その事例を挙げると・・・
・自分を採用してくれた部長が
出張で不在だった。代わりに対応して
くれる人も急に役目を振られたらしく、
私の名前さえ正確に知らなかった
・入口の守衛さんに話が伝わっておらず
建物の中に入ることができなかった
・備品がまったく用意されておらず、
自分で必要なものを集めなくては
ならなかった
・入社初日のスケジュールが決まって
いなかった。初出社後の数時間は
会議室で待たされただけだった
このようなことがあったためでは
ないと言いたいですが、それらの
会社は数年で退職することに
なってしまいました。
私の後に入社する人に対しては
人事部門担当として心を砕いた
対応をするようにしました。
しかし、新しく入ってくる人を
歓迎しないという企業文化は
容易には変わらず、失望を味わわ
せてしまうことが避けられなかった
ように思います。
採用するまでは丁寧に扱うものの
採用したとたんに冷たくなる。
そんな企業が採用に苦しむのは
当然かもしれません。採用した人を
こそ丁寧に扱うことこそ、最大の
「採用活動」なのです。