「人手不足倒産」という言葉を
見る機会が多くなりました。
そこまででなくても、人が足りない
ために受注を断っている企業の話も
よく耳にします。
人材採用は、火急を要することで
あったとしても、拙速に動くことは
慎まなければなりません。
「急ぎつつ待つ」ことが重要です。
この連載では、そのような
「急ぎつつ待つ」ために何をする
べきなのかについて書いていきます。
第13回のテーマは
「まずは面談から入る」
です。
とにかく面接をすれば
どうにかなる?
採用活動においては、面接をする
ことができなければ成果に
つながらないと考えがちです。
だから、とにかく応募を集め、
書類を見て、面接に呼ぶ人を
一人でも多く集めないといけない
という考えにとらわれることに
なります。
その結果、愚かにも、応募に際して
履歴書・職務経歴書を不要にしたり、
来てくれるだけで謝礼を出したりと
手段と目的が逆転するようなことを
平気でしてしまいます。
求人広告では、高給・好待遇など
聞こえのいいことばかりを並べ
目を引くことだけに走ってしまう。
その一方で存在するデメリットに
触れない「誇大広告」になって
しまっているのです。
さらに不幸なことに、応募書類を見て
明らかに基準に達しない人だと
わかっていたとしても、面接をすれば
どうにかなるかもしれないという
根拠のない考えにとらわれ、採用に
至る可能性が極めて少ない面接に
時間を費やしてしまう。
採用担当者の仕事は優秀な人材を
採用することであり、それ以外の
目的はありません。応募を集める
ことや面接をすることは手段に
すぎません。その手段がうまく
いかないのなら、別の手段を考える
べきなのではないでしょうか。
その「手段」のひとつが、面接を
することなくまずは面談という
形で会うという方法です。
急がば回れ
面接ではない面談をすることの
メリットは、求職者の本音を
引き出すことができるという
ことです。
採用に直結する面接という形だと、
どうしても、自分の話したことが
すべて評価の対象になるという
「縛り」を意識せざるを得ません。
つまり、うかつなことは言えず、
つまらない質問をしてはいけない。
マイナス評価をされないように
細心の注意を払わないといけない。
そういう意識にとらわれる、という
ことです。
その結果、率直な意見も質問もされる
ことなく、事前に準備され推敲された
「模範解答」、当たり障りのない質問に
終始することになるのが、面接という
場だと言えるでしょう。
なので、面談という場では、とにかく
ざっくばらんに、言いたいことを言えて
聞きたいことを聞ける場にすることが
何よりも重要です。
そういう意味では、求職者に関する
情報は事前にそれほど必要ありません。
履歴書・職務経歴書にはざっと目を
通すくらいでかまわない。それと
同じで、求職者の方も企業研究は
してこなくてよく、基本的なことでも
質問してもらって構わないという
場であるべきです。
通常の書類選考から面接へという
流れの中では、求職者は多かれ
少なかれ武装しています。それが
解けないまま採用すると、
「思っていたのと違う」
「こんなはずじゃなかった」
という思いをお互いに持って
しまうことになります。
その武装を解くために、まずは
面談という形をとることが
有効である場合が多いのです。