「人手不足倒産」という言葉を
見る機会が多くなりました。
そこまででなくても、人が足りない
ために受注を断っている企業の話も
よく耳にします。
人材採用は、火急を要することで
あったとしても、拙速に動くことは
慎まなければなりません。
「急ぎつつ待つ」ことが重要です。
この連載では、そのような
「急ぎつつ待つ」ために何をする
べきなのかについて書いていきます。
第14回のテーマは
「親切より熱心」
です。
依頼したこと「だけ」は
やってくれる
一緒に仕事をしていくうえで、
親切にしてくれる人は重宝します。
頼んだ仕事を嫌がることなく
きちんとやってくれるからです。
しかし、親切な人は依頼したこと
「だけ」はやってくれるのですが、
それ以上のことは望めません。
たとえば、依頼したことよりも
もっといい方法を提案してくれたり、
逆に「それはやめたほうがいい」と
諫めてくれたりすることはありません。
つまり、そんなことまでするには
もう一つ要素が必要だということ。
それは「熱心さ」です。
採用活動においては親切な人よりも
熱心な人のほうを採用するように
するべきです。
演技ができる
親切は演技でごまかすことが
できますが、熱心さはごまかす
ことができません。しかし、
限られた時間の中で、その演技を
見破るのは並大抵のことでは
ありません。
だからといって手をこまねいている
わけにはいきません。そこで、
熱心さを測るためにいろいろと
手を打つことになります。
たとえば、応募に際して手書きの
履歴書や小論文を課してみたり。
面接ではしきりに「志望動機」を
質問し、何度も面接に呼んでも
来るかどうかを試してみたり。
演技をしているだけの人はここまでの
ことはできないだろう。そうやって
「ふるいにかける」方法で熱心な人
だけを残そうというのです。
残念なことに、昨今の人手不足と
採用難により、これらの方法を
実行することは難しくなって
しまっています。なぜなら求職者から
見ればそんな「めんどうくさい」事は
敬遠されてしまうからです。
求人を出しても応募もなく、採用する
どころか面接すらできないようでは
困ってしまう。そうならないために
物見遊山に近いような人でも応募、
面接にたどり着けてしまうような
ユルいハードルしか設けてない
企業も多数あります。
そんな状況だからこそ、熱心な人を
見分けやすくなっていると言えるのが
今の状況です。少し応募のハードルを
上げるだけで「熱心な」人が集まる
可能性がぐっとあがる。
人は易きに流れます。最初は苦しい。
そこまでしなくたって面接してくれる
会社はいくらでもありますし、採用
だってしてくれる。そう思っている
人を、バッサリと切り落とす勇気を
持つことが重要です。