採用担当者が所属する組織に対して
できる貢献とは何でしょうか?
営利組織である限り、売り上げをあげ
利益を出すことが求められます。
しかし、採用担当者は売り上げを
あげることもなく、かといって
コスト削減ができる機会も少ない。
この点を踏まえて、採用担当者が
組織にできる貢献とは何か?
この問いに真摯に向き合うために、
日々の業務をこなす中で
「忘れがちなこと」について
書いていきます。
第3回のテーマは
「採用しないのも仕事だ」
です。
御用聞きではない
採用担当者の仕事は、各部署の
要望に応じて人を採用すること
だけにあるのではありません。
場合によっては、採用することを
止めることも重要な仕事です。
採用部署がなぜ人を欲するのか?
その理由まできちんと把握して
採用活動を始めるかどうかを
見極めることなくして、採用担当
の仕事とは言えません。
退職者が出たから。
業務量が増えて仕事が回らなく
なったから。
社長や専務に頼んでOKを
もらったから。
採用部署はさまざまな理由をつけて
「人が欲しいから採用してくれ」
と要請してきます。それを止める
ようなマネをすれば、嫌がられる
ものです。
採用担当は採用活動をしていてこそ
採用担当だと言われ「仕事をしたく
ないのか」と嫌味を言われます。
採用理由を追及していくと「部外者に
何がわかるのか」と詰め寄られます。
それでも、採用部署の言い分を
鵜呑みにするわけにはいかない。
採用担当者は御用聞きではなく、
不要な採用を止めることができる
のは採用担当しかいないからです。
退くことができる
人は少ない
人を採用することには非常な
リスクを伴います。一人の人間を
加えただけでチームや組織が崩壊
することだって珍しいことでは
ありません。何度もそのような
事例を見てきました。
経験もスキルも申し分なく、
コミュニケーション能力が高い
人であっても、人と人には相性と
いうものがあります。それは一緒に
やってみないとわからない。事前に
把握できない部分です。
人を採用するのは最終手段にする
べきであり、その前にできることは
たくさんあるものです。
業務内容を見直し、無駄や重複が
あれば解消する。担当業務の割り
振りを見直す。アウトソーシングや
新システム導入の余地はないか。
昨今の「働き方改革」を持ち出す
までもなく、職場環境を変えて
仕事の効率、生産性をあげることが
できれば、採用の必要はなくなる
かもしれません。
これらのことをやってもなお、
人を採用することが必要だと
いう状況でない限り、採用は
控えるべきであり、その可能性を
模索することこそが、採用担当の
仕事でもあるのです。
採用部署がそう言っているのだからと、
採用したい、はいそうですか、と
まるで条件反射のように採用活動を
始めることは断固としてあっては
いけない。