採用担当者が所属する組織に対して
できる貢献とは何でしょうか?
営利組織である限り、売り上げをあげ
利益を出すことが求められます。
しかし、採用担当者は売り上げを
あげることもなく、かといって
コスト削減ができる機会も少ない。
この点を踏まえて、採用担当者が
組織にできる貢献とは何か?
この問いに真摯に向き合うために、
日々の業務をこなす中で
「忘れがちなこと」について
書いていきます。
第9回のテーマは
「説得してはいけない」
です。
瀬戸際
採用担当者にとって、内定を
出した候補者の返答を待って
いる時間というのは、なんとも
居心地の悪いものです。
採用に当たっての給与や待遇を
書き記した条件通知書を示し、
返答期限も切ったからには
もはや待つしかない状況なの
ですが、もっとやれることは
ないものかという思いは
消えないものです。
なぜなら、ここで伸るか反るかに
よって今後のことが天国と地獄
ほど違ってくるからです。
まさに瀬戸際なのです。
入社決定となれば肩の荷が下り、
仕事の成功となる一方、もし
内定辞退となればまた一から
やり直し。その落胆は大きい。
口説いてはいけない
今般の、リクルート社による
「内定辞退予測データ」販売は
大きな社会問題になりました。
個人情報を無断で第三者に提供
したこともさることながら、
そうとわかっていて購入した
企業側の責任も厳しく追及されて
しかるべき事件だと思います。
その一方で、この事件によって
いみじくも、企業としてはいかに
内定辞退に対してナーバスに
なっているか、そしてどれほど
避けたいことなのかがわかった
という面もあります。
予測データを購入した企業の目的が
「内定辞退をする可能性が高い
人材にハナから内定を出さない」
ことなのか
「内定辞退の可能性が高い人材を
引き留めるために動くこと」
なのか定かではありませんが、
少なくとも後者の使い方は
するべきではありません。
内定辞退をさせないために
一番やってはいけないのが
「説得」することなのです。
多かれ少なかれ、就職や転職は
人生を変えます。その決断は
どこまでいっても「自分で下した」
ものであるという感覚が重要です。
説得をしたとたんに、この感覚が
なくなってしまい、自分の判断では
なくなってしまうのです。
求職者側にとって「自分で決めた
就職先である」という意識がなく
強引に、追加条件を示されて決めた
就職先だという思いを抱かせる
ような活動を、採用担当はしては
いけないのです。
提供できる情報は偏向なく隠さず、
迅速にそして誠実に対応する。
最終的な判断は候補者に委ねる。
その結果を甘んじて受ける。
それが採用担当者の矜持です。