多くの企業がやってしまっている
「間違った採用活動」について
採用される側として面接300回、
採用する側で1000人以上を面接した
「ハイブリッド」な視点から
お伝えしていきます。
第10回は
「評価シートを使う」
です。
埋めることが仕事に
面接官が面接終了後に行わなければ
ならない仕事があります。
それが「評価シートの記入」です。
候補者に対する評価を、評価項目
ごとに点数をつけていき、最終的に
「不採用」なのか「次の段階に進める」
かの判断を表明するためのツールです。
評価シートには目的があります。
1つは「評価する点を統一すること」
もう1つは「面接官に独自の基準で
評価をさせないこと」です。
組織の価値観、文化、ビジョンに
合うかどうか。
求める人物像に合致するかどうか。
誰がやっても評価がブレないで、
ある一定の基準で評価ができる。
それがそれが評価シートの強み。
しかし、多くの面接官にとって
評価シートの記入は億劫なもの。
採用不採用はすでに腹の中で
決めているのに、その理由を
他の人にもわかるように、納得して
もらえるように書かなければならない。
決まった手順で、きちんとした基準で
公平に評価するためという目的は
どこへやら。もはや記入すること
そのものが目的になってしまいます。
多様性に逆行する
評価シートへの記入そのものが
目的になってしまうことのほかに、
もう一つ、評価シートのデメリット
があります。
それが「多様性に逆行する手法だ」
ということです。
組織の多様性がイノベーションを
生むための必須要件だと言われる
今の時代、いろいろな考え方、発想、
背景を持つ人たちが集まった組織
づくりが求められています。
これは一言で言えば、今までなら
避けていたであろう「変わり者」を
どう扱うかという問題でもある。
組織にうまく溶け込めるだろうか。
チームメンバーとうまくやって
いけるだろうか。
ちょっと変わった考え方をする
人だな。扱いづらそうだな。
何があるかわからないから
「とりあえず」やめておこう
ではなく、
何があるかわからないけど
「どうすれば受け入れられるか」
を考えることが必要です。
評価シートに記入し、一定の項目を
満たさないことで不採用にする。
これは「変わり者」を排除するための
プロセスそのもの。
評価シートを使うのではなく、
面接官に直接、採用不採用の理由を
インタビューして、率直な意見を
聴き取りすることです。
なぜなら、文章を書くのが苦手でうまく
伝えられない人もいますし、文章にする
時間を与えると「体裁を整える」ことに
使われてしまうという危険もあります。
「生の声」を聴くために面接官に
インタビューすること。
面接官に評価シートの記入させるのは、
採用担当者が直接、面接官にインタビュー
する手間を省くために過ぎない。
そのほうがより多くの情報が得られる
のにそれをしない。ただの怠慢です。