採用面接の「七不思議」第1回 「なぜ退職理由は前向きなものばかりなの?」


この連載では、採用面接でよく起こる

不思議な現象を「七不思議」と名づけ、

検証していきます。

 

第一回は

「なぜ退職理由は前向きなもの

ばかりなの?」

です。

 

採用面接で必ずされる質問の

代表格が

「前職の退職理由」です。

 

私自身が面接を受ける側の時にも

質問されなかったことはありませんし、

面接する側の時にも、私がしなくても

もう一人の面接官が必ずと言っていい

ほど質問します。

 

退職理由は「用意された回答」

 

退職理由を採用面接で質問するのは

一種の「通過儀礼」みたいなもの。

必ず質問されるとわかっているので、

候補者も回答を用意して面接に臨みます。

 

そしてほとんどの回答が

 

「キャリアアップのため」

「自分の力を試したくて」

「新しい仕事に挑戦したい」

 

など、まるで「右へ倣え」でも

しているかのような

前向きな理由のオンパレードです。

 

こんな模範回答のようなことを聞かされて

すぐ納得する面接官は少ないですが・・・

さらに突っ込んで質問しても、候補者は

その対策もばっちり用意しています。

 

つけ入る隙はほとんどない

と言っていいでしょう。

 

本当の退職理由は語られない

 

自分が4回転職したのはなぜかを

振り返っても、面接官として多くの

「退職理由」を聞いてきた経験からも、

退職理由は突き詰めればただ1つ。

 

そうです。

「人間関係のトラブル」です。

 

転職する動機がこれ以外のものである

ケースはまれだ、というのが私の結論です。

しかし、この理由を口にした候補者に

今まで会ったことがありません。

 

なぜか?

 

人間関係のトラブルは当事者でないと

理解が難しく、説明するのも難しく、

話せば話すほど「悪口」になってしまう

からでしょう。良いことは一つもない。

 

だったら説明しやすい理由で覆い隠す

ほうが簡単だ、と考えるのも仕方の

ないことです。

 

こうして退職理由はほとんどが

前向きなものに「お化粧」されています。

だから、質問する意味はほとんどない

と言っていいのです。

 

それよりも、目の前の候補者が

入社したらどんな貢献をしてくれるのか、

候補者にとっても入社することがハッピー

なことなのか、に目を向けるべきでしょう。

 


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