この連載では、人材採用に関する
海外英文記事を毎日読んでいて
学んだことを、みなさんとシェア
していくものです。
第5回は
「まだ『起こしてもいないこと』で不採用になる」
です。
問題を起こしそうな人を採用したくない
「将来的に何か問題を起こす」
可能性のある人を、採用しないで済む
ようにする、適性検査ならぬ
「不適正検査」はすでに存在します。
ストレス耐性がなくてうつ病になる。
すぐにサボったり仕事をしなくなる。
すぐに辞めてしまう。
このような、会社にとっては不都合の
ある行動を取る可能性が高い人を
あらかじめスクリーニングして、
そもそも「採用しない」という
やりかたです。
このような「不適正検査」は、
AI等の技術により、どんどん精度が
あがっていくでしょう。
カンタンなテストで、安いコストで、
不適正者を瞬時にあぶりだすことも
可能になるかもしれません。
映画「マイノリティ・リポート」では、将来的に
殺人をおかすと予知された人間が、
まだやってもいない殺人のために捕まえられて
しまいますが、それと同じようなことが採用でも
起こるかもしれない。
「あなたは2年後には会社の金を使い込む」
「あなたは1年後には仕事をサボりはじめる」
こんな「まだ起こしてもいないこと」で不採用に
なってしまうことが、頻発するかもしれません。
採用担当者としての「自殺行為」
問題が起こってから対処するのではなく、
問題が起こる前に対処しよう。
その考え方は良いと思います。
犯罪の予防や病気予防にはぜひとも
必要なことです。
ただ、人材採用に関しては、
この考え方には断固反対です。
こんな採用方法をとるのなら、
それは採用担当者としての
職務放棄以外の何物でもない。
「自殺行為」と同じだと思います。
採用は「まだ、あげてもいない成果」
に期待して行うものです。
難しいことですし。失敗も多い。
しかしだからこそ、採用担当者としての
成果をあげることが期待される部分であり、
採用担当者として、ぜひとも達成すべき
重要な仕事です。
「まだしてもいない失敗や不祥事」の
データに基づいて「採用しない」だけの
仕事なら、誰にだってできる。
そんな仕事のために採用担当者なんて
おく必要はない。
不適正検査に頼ることは、採用担当者を
いらないものにしてしまう自殺行為です。