この連載は、「採用する側」「採用される側」で
豊富な「ハイブリッド」経験を持つ私が、
いずれかの立場で「した」「された」質問に
ついて実例を挙げ、その質問意図と回答に
ついて解説していきます。
第9回は「した質問」で
「これがなければ退職しなかったのに、
という要因は?」
です。
質問意図:
面接の初めのほうで退職理由を
質問してから、しばらく時間を置いて、
しかも質問の仕方を変えることで
本心を聞き出したい。
続く質問:
「それが最大の要因ですか?」
「その要因を取り除けない理由は?」
「取り除くために何をしましたか?」
「あなたの他にも同じことを言う
人はいましたか?それはどんな人ですか?」
「ほかに要因はありますか?」
わたしならこう回答する:
成長の機会があると希望を持てていれば。
自分一人の心の持ちようぐらいでは
どうにもならない状況で、この場所に
いる限り成長できないと思う場所には
もういられません。
退職を決意する理由は複数ある。
転職を4回している私の経験からも、
面接官として退職理由を候補者に
数限りなく質問してきた経験からも、
それは確かです。
しかし、その中で「決定打」となる
理由が存在することもまた確かです。
他のことは我慢できてもこれだけは
耐え難い、という根本理由が。
そしてそれこそが、
「譲れない一線」
「生き方」
「人生観」
と言えるものです。
仕事は生きていくうえで重要なもの。
しかし、たかが仕事であることも事実。
独立して自分で事業をやっているなら
話は別ですが、そうでないなら、
自分の魂の尊厳、それこそ命を懸けて
までやることはなく、職場を変わって
再スタートを切ればよいと思います。
「身勝手だな~」としか思えない
退職理由を話す候補者が多いです。
しかし、根本的な価値観にそぐわない
仕事はしたくないという理由なら、
面接官も納得するのではないでしょうか。