この連載では、採用活動に関して
重視すべき方針や考え方についての
キーワードを、「いろは」ならぬ
「ABC」に絡めて取り上げ、
解説していきます。
第38回は
「Salary」
です。
賃上げもやむなし?
「優秀な人材を確保するために
賃上げもやむなし」
「給料を上げて待遇改善」
そんなフレーズをよく見かけます。
空前の人手不足に対応するために
組織が頭を悩ませているなか、
手っ取り早いのが給料をあげること。
原資さえあれば可能なうえ、数字として
認識しやすく、従業員にもわかりやすい。
しかし、効果のほどは疑問を
投げかけざるを得ません。
なぜなら・・・
同業他社より劣っていた水準を
引き上げるなら効果はありますが、
もともとそれなりの金額を支払って
いたのなら、多少金額を引き上げた
ところで効果は知れているからです。
しかも、数カ月もすればその金額が
当たり前に感じられ、すぐに効果が
薄れることもわかっています。
金銭的な報酬は、効果が長続きせず
それどころか「上を見ればキリがない」
状態で、際限もない。
それよりも、心理的な報酬をどうやって
与えるかを考えることが有効です。
心理的な報酬とは、期待され、評価され、
必要とされ、何かに貢献できているという
実感のことです。
働くことにおいて、これ以上の報酬は
ありません。
これらがなく、お金を獲得することだけが
目的の仕事ほどむなしいものはない。
期待もされず、貢献もできない仕事を
ずっと続けたいという人はいませんし、
続けることは不可能です。