この連載は
主に求人広告で見るフレーズで
「たわごと」と言えるものを
その理由とともに紹介します。
第14回
「定着率100% 離職率0%」
残業の問題や働き方改革の影響で
「働きやすい職場である」という
ことをアピールする求人が増えています。
代表的なのが定着率と離職率でしょう。
しかしよく読んでみると
「直近1年間」という短い期間の
統計だったりします。
新卒新入社員の早期退職で問題視
されるのは「3年以内の離職」です。
1年間ぐらいなら、辞める人が
いなかったとしても不思議では
ありません。
逆に、1年以内に辞める人がいる
ほうが問題です。
これはアピールポイントではなく、
単なる「普通のこと」にしか過ぎません。
従業員が数万人いるわけでもない、
数百名ぐらいの規模の企業なら
なおさらです。
数字はマジック
しかも、定着率と離職率は同じように
見えても実は違う。
「定着率」とはあいまいな概念です。
勤続3年以上だろうと、試用期間3カ月を
終了したらであろうと、会社がそう定義
すれば「定着率」として扱えます。
会社にが自由にその定義を決める
ことができるのです。
一方「離職」は、会社を辞めていったという
事実がそこにあるだけです。解釈はない。
しかし、勤続何年だろうと離職した人が
いればカウントしているのか、
カウントするのはこの1年で新しく入社した人
だけに限っているのかは注意しなければならない。
新しく入社した人は辞めていなくても、
古くからいる社員がどんどん辞めて
いっているという事実があったなら、
どう感じますか?
求人に書かれている数字は
会社に都合のいい数字だけ。
定義もあいまいです。
信用できません。