この連載では、採用活動に関して
重視すべき方針や考え方についての
キーワードを、「いろは」ならぬ
「ABC」に絡めて取り上げ、
解説していきます。
第5回は
「Bias」
です。
認知バイアスからは逃れられない
認知バイアスは難しい概念ですが、
ごくごく一般化すれば、
「人間の意思決定は合理的に
下されているとは限らない」
ということです。
人材採用の場面でよく起こることに
置き換えれば、採用面接の場面での
こんなケース。
十分な経験を積み、十分な時間をかけた
採用面接でも、候補者の容姿や声のトーン、
顔色やファッションセンスなどによって
合否に影響を受けてしまうということ。
平たく言えば
「不細工よりイケメン」
「ブスより美人」
のほうが採用されやすい
ということです。
好き嫌いでもOK
いくら公平に判断しようと思っても、
人間には主観もあれば好き嫌いもある。
それを排除して判断しようといくら
努めても限界があります。
ならば、その「好き嫌い」を判断基準の
1つとして堂々と認めればよい。
現実に「好き嫌い」が採用基準として
使われている組織もあります。
代表的なのは米航空宇宙局(NASA)。
宇宙飛行士採用試験では、現役宇宙飛行士による
最終試験があるのですが、その基準は
「目の前にいる候補者と宇宙空間で
長期間一緒に過ごせるかどうか」
まさに好き嫌いなわけです。
宇宙船の中という、命の危険もある
閉鎖空間ほど特殊な職場は少ないです。
それでも、多くの時間を一緒に過ごすことに
なる同僚や上司を好きになれるかどうかは
大きなポイントです。
好き嫌いという「バイアス」を
立派な判断基準として認める。
そのほうがわかりやすくていいのでは
ないでしょうか。